令和5年度地域女性リーダー育成講座【元島民による北方領土を語る会】

今年度の地域女性リーダー育成講座は、【SDGs研修会】【昆布料理講習会】【元北方領土島民による北方領土を語る会】【防災学習会】という4つの内容で開催しました。


今回は【元北方領土島民による北方領土を語る会】をご報告いたします♪

※この講座は、全国女性団体連絡協議会の事業を活用しています。

 

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婦人会で取り扱っている歯舞(ハボマイ)昆布は、北方領土の「貝殻島」周辺で採れるものです。

私たちは長年、この昆布を通して北方領土問題に取り組んでいます。

今回は、実際に北方領土に住まわれていた元島民より、北方領土の戦前の模様、ソ連軍の侵攻、強制引き上げ、返還運動への取り組み状況等についてお話をお伺いしました。

 

◆開催日

・11月16日(木) 東温市中央公民館

 


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<北方領土返還要求運動についての説明> 北方領土復帰成同盟 主査 永田 しのぶ 氏

○北方四島は、旧ソ連軍の不法占拠から78年が経過した。北方領土返還要求運動は、昭和二十五年、根室町長が連合国最高司令官マッカーサー元帥に陳情書を提出したことが始まりである。この運動は根室から札幌、函館、そして北海道全域に拡大し、昭和三十年、婦人会の協力により、全国的な運動として根付いた。

○北方領土問題は、日本国民みんなの問題である。択捉(エトロフ)島・国後(クナシリ)島・色丹(シコタン)島・歯舞(ハボマイ)群島は、日本国民が開拓し、住んでいた場所であり、住むべき場所。そのことを忘れないでいただきたい。

○北方四島のことを風化しないようにするには、国民ひとりひとりが返還への願いを正しく認識し、深めていくことが重要である。今後とも北方領土返還要求運動にご理解とご協力をお願いしたい。

 

 

<北方領土の早期返還を求めて>  語り手 元島民 児玉 泰子 氏

 

<私や家族の体験> 

私は三歳まで、歯舞群島の志発(シボツ)島で家族十一人で暮らしていた。戦争の体験はない。昭和二十年の8月、終戦の放送があった。もしかしたらアメリカ兵が来るかもしれないと思っていた。

9月、大きな軍艦がやってきた。ソ連兵だった。銃を構えたソ連兵が土足で学校・役場・警察・郵便局等の大きな建物に上がり込み占拠した。また、民家にも土足で入ってきた。言葉が分からず怖かった。

北海道や隣の村に行くことも許可がなければ行けなくなってしまった。ソ連兵は毎日巡回していた。親切にしてくれたソ連兵もいたが、逆らえないと思っていた。

私の家族は島に留まっていたが、脱島する島民も沢山いた。ソ連兵の監視が緩むのは悪天候の日である。荒波の中、島から脱出を試みるが、波にのまれ亡くなる島民もいた。国後島では村をあげて集団脱出をした。その頃にはソ連兵が若い女性に乱暴する噂が広がっており、あるお母さんは娘の服の衿に“ねこいらず”入りの饅頭を縫い付け、「何かあったら、これを食べて死のう。」と約束し、島を離れた。その母子は無事に脱出を果たし、「もうこれはいらないね。」とその饅頭を捨てたと聞いた。


<占領され強制送還> 

ついに引き揚げ命令がでた。島に残ればソビエト連邦の国籍になる。私の親は子ども達には日本人として生きて欲しいと、家族十一人全員で強制送還に従った。昭和二十二年に強制送還。島民の多くは「いつか島に帰れるだろう」と、着類や食べ物を軒下に穴を掘って埋めた。

強制送還のための船に乗るまでには一ヶ月待たされた。11月下旬にソ連の貨物船に乗り込むことになった。私たちは荷物を積み上げるための大きな網(モッコ)で荷物同然に船へ引き上げられ、船倉に入れられた。この船旅は厳しく、体力のない者からどんどん亡くなっていった。

北海道に到着すると思っていたが、樺太に収容された。ここでも私たちは苦労することになる。しばらくして、やっと日本の船に乗ることができ、北海道の函館へ。この船の中で食べた久々の白いごはん。涙が出た。美味しかった。手を合わせ「子ども達にひと口でも食べさせたかった。」と涙する島民もいた。私たちは「必ず島に帰ろうね!」「元気でいようね!」と慰め合った。

 

<望郷の想い>

島を離れて75年。やっと故郷の島に行くことが出来た。浜辺の小石を拾い、「あぁ。ここが私の“ふるさと”なんだ」と涙し、立つことが出来なかった。祖母が帰りたかった島。祖母達が頑張って作り、住み続けたかった島…。

当時、北方四島から引き揚げてきた人は17,191名。現在存命なのが5,000名ちょっとである。平均年齢は86歳。元島民があと何年かしたらいなくなってしまう。

 

<皆様へお願い>

私たち島民にとっては、北方四島は“故郷”であるが、北方領土は日本国民みんなの大切な領土。今回の話を、少しでもいいので、どこかで話していただき、沢山の方に北方領土のことを知っていただくきっかけを作って欲しい。それが返還運動につながっていく。名物の昆布やカニ缶を食べたりする時にでも、このことを話題にしていただけたらと思う。そして、皆さんがいつか綺麗な花咲く島へ自分達も行くんだ。という思いを持っていただき、その為にはどうしたらいいのかを考えて貰えると嬉しい。

 

 

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とても深く考えさせられる講演でした。

戦後78年が経ちます。

戦争経験者が少なくなってきている今、北方領土問題について深く知らない人も多いのではないでしょうか。

たくさんの人に北方領土について知っていただけるように、私たち婦人会は活動したいと思います!

 

 

 

児玉様、永田様、

今回はとても貴重なお話を聞かせていただきまして、

りがとうございました!

 

 

 

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今回ご参加いただきましたみなさま

受付等のご協力を引き受けていただきました、

東温市婦人会のみなさま、

ありがとうございました♪

 

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2024年03月27日